随筆 耳介 - 視界より外された身体 何故そんなことを考えはじめたのか、はっきりしない。以前、外出先で食堂に入った。テレビでは小泉八雲の特集をやっていた。NHKが放映していたドラマのヒロインが、小泉セツをモデルにした設定だったので、その宣伝も兼ねていたのかもしれない。 昔読ん... 2026.04.15 随筆
詩文 黒髪 二十一のとき、ふたつ下の女性と暮らしていた。折れそうなほど細い、おとなしいひとだった。 そのころの私は、受け止めたいものを、こちらからさし出すことを知らなかった。足りないものを世間のせいにしていた。就職の時期が近づいても、無いものを社会に... 2026.04.13 詩文
小説 渋谷、冬 ∽∽降誕前夜祭まえだったと思う。じつを言えば、もうよく憶えていない。彼女のコートの白さだけが、いまも頭の片隅にある。街路樹のイルミネーションなどは、記憶の混同かもしれない。∽∽彼女は、中学の同級生だ。たいして親しかったわけではない。ぼくらと... 2026.04.08 小説