小説

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∽∽その骨を手に取り見つめたとき依子は、たとえようもない何かに胸の奥を触られたように思った。∽∽アパートのドアの前でそれに気づくと、なぜか迷うことなく拾い上げていた。バッグから取り出したティッシュに包んでおり、直接触れてはいない。けれど、気...
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玲奈

∽∽「三浜のDロットを、まず当たってみます。もしそれで適合がなければ、全タイプを調べてみます」袖ケ浦のバスターミナルへ戻るタクシーの中で野上が云った。玲奈は小さく頷くと、総務を必ず通すようにと返した。そうして、提携している大学の研究室には、...
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 窯変の青磁器

∽∽香月泰男という洋画家がいる。終戦直後、満州でソ連に抑留され、シベリアでの体験を作品に残している。香月の画をどこかで見掛けると、私は藤江領吾を思い出す。画中の人物と領吾が似ているかは自信がない。その二つを繋いでいた線は、いつの間に朽ちてし...
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渋谷、冬

∽∽降誕前夜祭まえだったと思う。じつを言えば、もうよく憶えていない。彼女のコートの白さだけが、いまも頭の片隅にある。街路樹のイルミネーションなどは、記憶の混同かもしれない。∽∽彼女は、中学の同級生だ。たいして親しかったわけではない。ぼくらと...