小説 玲奈 ∽∽「三浜のDロットを、まず当たってみます。もしそれで適合がなければ、全タイプを調べてみます」袖ケ浦のバスターミナルへ戻るタクシーの中で野上が云った。玲奈は小さく頷くと、総務を必ず通すようにと返した。そうして、提携している大学の研究室には、... 2026.06.28 小説
小説 窯変の青磁器 ∽∽香月泰男という洋画家がいる。終戦直後、満州でソ連に抑留され、シベリアでの体験を作品に残している。香月の画をどこかで見掛けると、私は藤江領吾を思い出す。画中の人物と領吾が似ているかは自信がない。その二つを繋いでいた線は、いつの間に朽ちてし... 2026.05.31 小説
小説 渋谷、冬 ∽∽降誕前夜祭まえだったと思う。じつを言えば、もうよく憶えていない。彼女のコートの白さだけが、いまも頭の片隅にある。街路樹のイルミネーションなどは、記憶の混同かもしれない。∽∽彼女は、中学の同級生だ。たいして親しかったわけではない。ぼくらと... 2026.04.08 小説